認知症に関する取り組み その3

全国的にもようやく新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)の感染者数が落ち着いてきたようですね。医療従事者のワクチン接種も始まり、春の雰囲気も手伝って、津々浦々少しずつ明るい社会になってくれることを期待したいですね^^

さて、認知症に関する取り組みについての投稿になります。バックナンバーはこちら → 認知症に関する取り組み(その1https://www.taki-dc.com/blog/567、 その2https://www.taki-dc.com/blog/815)

コロナ禍においては、認知症の症状が悪化しやすい環境で生活せざるを得ない状況であり、前回も話題で触れた「このまま何もしなければ、2025年には5人に1人が認知症になる」という研究のデータがありますが、いまの状態ですとさらに加速してしまう可能性が高いと言われています。もはや待ったなし、の状態であると言えます。

ご存知の方もおられるかもしれませんが、認知症の保険適応されたお薬4種類しかありません。日本国内では保険適応されていますが、海外では保険適応されていない国もあります。何故なら治療効果がないからです、というと語弊があるかもしれませんが、容量用法によっては症状が悪化するケースが多いためです。むしろ認知症が悪化する、というデータがあります。4種類のうち、コリンエステラーゼ阻害薬という成分の薬が3種類ありますが「コリンエステラーゼ阻害薬を長期に使用すると、認知症が加速される」という研究発表が2016年にJAMA(米国医師会雑誌)に発表されました。本邦でも以前から、認知症外来などの先生方の臨床経験において、コリンエステラーゼ阻害薬はあまり良くない、と警鐘を鳴らしていました。(薬物療法に否定的な本が数多く出版されています)コリンエステラーゼ阻害薬は、患者さんに合うお薬の容量ひとりひとり異なり、さらに副反応(周辺症状の増悪)も出やすいため、処方する薬の量のコントロールが難しいとされています。とりあえずお薬を処方する、というスタイルの治療では、患者さんはむしろ徘徊が増えたり怒りっぽくなることがあるようです。(もちろんそうでない場合もありますが)

コウノメソッドという、認知症患者さんの詳しい診断から、その患者さんに合う薬やサプリメントの処方をする一連の手法があります。河野先生はかなり前からコリンエステラーゼ阻害薬の安易な処方について警鐘をならしていましたが、2016年のJAMAの研究論文は、同様の結果を発表していると言えます。

ご興味のある英語が堪能な人向け、JAMA(The Journal of the American Medical Association) Neurologyのフリー記事掲載分のリンクです。

https://jamanetwork.com/journals/jamaneurology/article-abstract/2514553(別ページで開きます)

上記論文のAbstractの最後で、「コリンエステラーゼ阻害薬の使用は、脳の萎縮や機能障害、臨床的衰退の増加と関連していた。したがって、代替療法が利用可能な場合には、高齢者における薬物療法は控えるべきであろう。」と書かれています。詳細はご興味があれば論文をお読みいただければ書いてありますが、認知症の患者さんには、薬だけ服用するのは避けた方がよさそうです。

前置きが長くなりましたが、当院では日本認知症予防学会認定のサプリメント「フェルガード」を販売しております。フェルガードは株式会社グロービアさんが製造しており、医療機関でのみ店頭販売可能医療用サプリメントです。当院は認知症の専門病院ではありませんが、以前からフェルガードをご希望の患者さんにのみ提供しておりました。冒頭でも述べましたが、コロナ禍において認知症対策はもはや待ったなしの状況であると考え、地域医療の貢献の一助として、この度店頭での販売を開始いたしました!

受付に掲示しておりますので、ご興味のある方は会計の時などにお声掛けください^^