口は命の入り口

田んぼの稲刈りも終盤を迎え、秋らしい気持ちのいい日が続きますね。
といっても、せっかく衣替えしたのに、いまだに半袖シャツを引っ張り出さないといけないという昼間の暑さ。。。寒暖差がひどいですね。
  
さて突然ですが、歯を抜いたわけでもないのにもともと歯の本数が少ないという人、いらっしゃいませんか??
「歯の先天性欠損」といって、虫歯や歯周病で抜いたわけでもないのに、永久歯の本数が正常よりも1~2本少ないという人がいます。
そもそも歯の本数は、親知らずまで含めると上下で32本。ですが現代人は親知らずが半分埋まったままだったり全然生えてこないことも多いので、最近は親知らずは勘定せず、上下28本が正常な歯の数といえます。
  
ところが最近、先天性欠損でもともと歯の本数が少ないという子供が多いようです。様々な調査によると、およそ10%の発現率といいますから、1クラス30人いれば2~3人くらいは歯の先天性欠損があるという割合です。写真の状態であれば、本来4本あるはずの下の前歯が3本しかなく、左右の乳歯の下に永久歯が確認できません。このケースでは、永久歯が3本少ないということになります
普通だったら乳歯が抜けたらそのあとに永久歯が生えてきますが、生えてくるはずの永久歯がないわけですから、乳歯が抜けてしまったら最後、その周辺のかみ合わせが悪くなってしまいます。一旦歯が傾いたりガタガタしてしまうと自然には元に戻りませんし、清掃不良で虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまいます。そういう人が、およそ10%もいるというのは無視できない状態ですよね。
 
野生の動物は歯が悪くなると「死」と直結します。ですので野生の動物は歯並びが悪いというのは聞いたことがありません。
(もともと歯がない生物は関係ありませんし、私の見分が狭いだけかもしれませんが・・・)
顎や顔面、その周辺は退化傾向にあるという論文もあります。10%という発現率は退化の表れなのか、はたまた別に原因があるのかはまだはっきり分かってはいませんが、先天性欠損がある場合は、歯医者の先生に早めに相談しましょう!
 
定期的な検診に通っていただくことで、10代で生え変わるはずの乳歯の寿命を延ばすことも可能です。もし乳歯がグラグラしてダメになってしまっても、インプラント治療やブリッジを作製することで、永久歯の働きを補うことも可能です。30年ほど前と比べると明らかに虫歯は減少しましたが、先天性欠損は今後増える可能性があります。
虫歯はなくても将来困ったことにならないように、最低でも年に1回はお口の健康診断を受けましょう!予防に勝る治療方法はありません!痛くなってから、困ってからでは遅いのです。
 
とある有名なビジネス雑誌での健康に関するアンケート調査で、リタイヤした1000人に対して「健康に関して後悔していること」という調査がありました。
結果は、「タバコをやめればよかった」「暴飲暴食をしなければよかった」「運動していればよかった」などの回答が多い中、なんと1位は「歯の定期検診を受ければよかった」でした。
  
当院では定期的に通っていらっしゃる患者さんがとても多いです。そしてたいてい皆さんお元気です。90歳を過ぎても手押し車で通い続けている患者さんもおられます。
「口は命の入り口」という言葉があります。ご自分の健康は自分で守りましょう!
説教じみてしまい恐縮ですが、最後までお付き合いありがとうございました。
また次回もお楽しみに!