医療のテクノロジー進化 その2

この度の西日本豪雨で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

少しでも力になれればと思い、被災地で不足していると報告のあった歯ブラシ、そのほか義歯安定剤や口腔ケア用品などを支援物資として提供させていただきました。

同業の先生も被災され、診療所は2階部分まで泥だらけでとても営業再開できる状態ではないようです。岡山市の市街地は運よく大きな被災にはなりませんでしたが、それでも知り合いの車が水没してしまった、床下浸水で仕事に行けないなどの話を耳にしました。暑い日が続きますので1日でも早い復旧・復興を願うばかりです。

さて、前回に行き続きテクノロジーの進化と歯科についての第2弾です。

突然ですが、みなさまのなかにも「歯医者でする歯の型取りが苦手なのっ!」という方がいらっしゃると思います。むしろ多くの人があまり好きではないと思います。ピンク色だったり緑色だったりする柔らかい粘土みたいな型取り材で口のなか一杯になるアレです。おえっ、っとえずく(吐きそうになる)方も多い歯型取りですが、歯科治療では必要な、しかも重要な工程の一つなので省略することはできません。

歯型をとったら石膏で模型を作成して、技工士さんに銀歯や入れ歯などを作ってもらうのが従来のやり方ですが、ここにテクノロジーの進化が加わると、、、

専用の機械でお口の中の写真を撮るだけ で型取りができたことになるのです。

何の事やらよく意味がわからないと思いますが、従来型のやり方よりも患者さん側の苦痛は少なく、もし上手く写真が取れてなくても、その場ですぐに追加の写真を撮るだけで修正ができるそうです。従来型の場合は模型を作成した後に、大事な部分が欠けてしまったり変形してしまうと、再度来院してもらって歯型取りをさせてもらう事になります。「(心の声)またあの歯型取りをするのか・・・」という気持ちにさせてしまうこともあろうかと思いますが、歯型取りは銀歯や義歯を精密に作るために必要な工程なのです。

テクノロジーの進化によって、写真をとるだけで(苦痛が少なく)歯型取りが行え、しかも後日やり直しする必要はほぼないというメリットがあります。これだけ聞くととても良いのですが、問題点もあります。

口腔内スキャナーと呼ばれる写真を撮る機器ですが、実は海外から何社も製品が発売されており、画質の差や全般的な性能に差があります。ある程度性能に優れて使い勝手も良い製品は販売実績をどんどん上げているようですが、ざっくり言うとマイナーな会社の製品に関しては、アフターサービスの点において不安があります。そして早くも日本から撤退した会社もあるようです。

例えてみますと、DVDの次世代の記憶媒体として、「ブルーレイディスク」か「HD-DVD」か。という状況と似ています。利用者を含めて市場では大激戦が繰り広げられましたが、結局はブルーレイディスクが生き残りました。決着がつくまでの間は、DVDプレイヤーもレコーダー機器も、レンタルビデオの規格までもがどちらに対応するか、市場にも混乱があったのは記憶に新しいと思います。

口腔内スキャナーに関してですが、早々と撤退するのならまだしも、まだまだどの企業も新製品開発やバージョンアップを重ねており、狭い市場で熾烈な争いの真っ最中なので、おいそれと導入することができない状態と言えます。素晴らしいテクノロジーだと思いますので、いずれは歯型取りの主流になるものと思われます。残念ながら当院ではまだ導入は未定ですが、常にアンテナを張って情報をキャッチできるようには心がけておりますので、新しい技術などに関して何か疑問があればお気軽にお尋ねください^^

暑い日が続きますので、お身体には気を付けてお過ごしください。