歯科と全身の関わり その4

急激に寒くなりましたね!岡山も県北では雪が降ったという情報です。皆さま風邪をひかないように充分気を付けて下さい。

さて、随分と久しぶりになってしまいましたが、先日私共の母校である神奈川歯科大学から、社会歯科学分野の山本教授を岡山に招聘して、「歯科から健康寿命延伸への貢献を目指して」と題し講演会をしていただきました。その内容を皆さまにもシェアしたいと思います。

まず、7/13のブログにてシェアした内容ですが、

「自分の歯が多く保たれている高齢者は健康寿命が長く、要介護日数短い」

「歯を喪失し義歯未使用の場合、転倒するリスクが約2.5倍」

「歯がほとんどなく義歯未使用の場合、認知症のリスクが約1.9倍」

など、高齢期の健康と歯科に関わるデータを色々とご紹介しました。

特に転倒に関しては、高齢者の約3分の1に起こり、一度転倒すると再度転倒することへの恐怖から引きこもりがちになり、社会的孤立や虚弱(フレイル)の状態に陥り、ついには要介護状態へと移行するケースが多くみられるということです。この場合は転倒が要介護状態への直接的なきっかけになりますが、もちろん高齢者がみんな転倒するわけではありません。背後に転倒しやすい状態(環境)が隠れていると思われますが、そのひとつとして先に挙げた「歯の喪失」について、次のようなデータがあります。

「自身の歯が0~8歯の者は、19~28歯のものに比べて5.2倍骨折のリスクが高い」

これは50歳以上の男性歯科医師約1万人の約6年間に及ぶ追跡調査で出た結果だそうです。歯を喪失してしっかり咬みにくくなることで、身体のバランスがとりにくくなると言われていますので、歯を失うことで転倒しやすくなると思われます。調査対象が男性歯科医師というところが若干偏っているところはありますが、おそらく閉経後の女性よりも骨折を起こしにくい集団を選んだものと思われます。

いずれにしても、「歯の喪失」「転倒・骨折」を引き起こす隠れた原因のひとつであり、要介護状態へのドミノ倒しにつながる可能性が高いとのことでした。

その他にも歯科と認知症とのかかわりなど、健康寿命を伸ばす可能性歯科には潜在しているようです。まだまだエビデンス的には少ないですが、いま多くの医療人が歯科に注目しています。

いざというときにお役に立てるように、これからも講習会などに参加してみなさまに還元できたらと思います!!